こんにちは。元エキップ(RMK、SUQQU)の採用責任者の石塚です。
近年、美容部員になる人の8割は未経験者と言われています。なぜ専門性の高い仕事なのに、未経験者多いのでしょうか。
シンプルに、どのブランドも経験者が採用できないからです。
世界的に有名なブランドですら、未経験者も採用できない状況です。そのため、化粧品メーカー各社とも、人員を確保するために未経験を積極採用しています。
一見、未経験者から美容部員になるチャンスが広がる一方、リスクも広がっています。
今回は、求人サイトや派遣会社は絶対に教えてくれない、未経験から美容部員になるリスクについて紹介します。
未経験の美容部員の面接通過率は80%以上
2018年~2019年にかけて、未経験で美容部員の面接を受けた人の選考通過率は80%を超えると言われています。
ディオールとかMACのように、コレクションやアーティスト系ブランドだと、ブランドイメージとの相性や技術の有無が求められるので、決定率は下がりますが、一般的なメーカーの面接では、未経験者でもほぼ全員が決まります。
これは、以前に比べて、化粧品メーカーの採用基準が変化していることが分かります。誤解を恐れずにいうと、企業の合格のストライクゾーンが広がり、以前はNGだったけど、選べる立場でもないので採用しているケースが多くなっています。
10年前では不合格を言い渡される可能性が高かった人が、今では合格がもらえるということもあり、応募者から見れば、憧れのブランドで働くチャンスが広がったと言えます。
いっぽうで本来はそのブランドにマッチしていない人も、企業の人材の欲しさに採用されてしまうというケースも生まれています。これが未経験で美容部員になる人にリスクをもたらしています。
では、どのようなリスクがあるのでしょうか。
未経験者を育成する体制が整っていない
これまで、多くの化粧品メーカーは、専門的な知識や経験を持つ学生や、他ブランドの経験者を採用してきました。
なぜなら、美容部員の仕事は専門的な知識やスキルが求められますし、未経験者を一人前に育てるにはかなりのコストがかかるからです。
未経験者1人を一人前の美容部員に育成するのにざっくり100万円程度の費用がかかります。
だから、育成にコストがかからない中途採用を積極的に採用してきました。しかし、今は経験者が採用できないので、未経験差を採用しています。
本来、未経験者の採用を強化していくには、同時に教育やフォローアップの体制も強化する必要があります。でも、経験者を採用できていた時代が長かったこともあり、各社とも急には教育やフォローアップ費用を負担することができず、ブランドによっては未整備のまま、未経験者を受け入れざるを得ない状況です。
未経験者の転職の裏に潜むリスク
美容部員になるのに資格は要りません。しかし、専門的な知識や技術が必要です。
「人の顔に直接触る仕事は医者と美容部員だけ」と言われるくらいデリケートな仕事です。当然、医者と同様、専門的な知識がないと、お客様の顔や目を傷つけてしまう事態にもなりかねません。
それなのに、数日の研修で現場に出て、いきなりタッチアップするのは未経験者にとっては相当なプレッシャーになりますし、自分の知識やスキル不足からクレームに発展してしまったりすると、精神的な負担はかなり大きいでしょう。
面倒見のよい店長や同僚がいてくれたら、未経験のスタッフもなんとか乗り越えていけるのでしょうが、
なんてことを言われた日には、何もかもが怖くなって仕事が手につかなくなってしまいます。
そして、徐々に
「怖くてもうやっていけない」
と悩みこんでしまって辞めてしまうケースが多発しています。
化粧品メーカーもわかってはいるけど、会社の事情で教育、育成費用は増やせません。仮に教育費用を増やしたとしても、育成するトレーナーを採用するのは難しく、多店舗からも人材を確保するのは難しいのでしょう。
だから、実態としては入社後1から2週間の間に、自社の商品知識とその商品を売るための最低限の技術とセールストークを叩き込んで配属させることで精いっぱいという状況です。
これが未経験から美容部員になるリスクです。
未経験者は育成に強みを持つ会社を選ぶべき
未経験者で美容部員を目指す人がしっかりとしたスタートを切るためには、昔から未経験者を積極的に採用・育成してきたブランドを選ぶべきです。
現在の転職市場から考えれば、1~2年しっかりとした企業で経験を積めば、いつでも人気ブランドには転職できます。だから、わざわざ最初からハードな環境でスタートしなくても、しっかりと長期のキャリアを見据えて判断するべきです。
しかし、求人サイトや派遣会社はこの事実を教えてくれません。なぜなら、離職率が高い会社ほど人材を欲がるので求人サイトや派遣会社へ支払う手数料も高くなるからです。
むしろ人が辞めない会社は、求人募集も少ないので、一般的に大手の人材会社にとっては魅力的な会社にはなりません。
おわりに
最終的に、仕事を選ぶのは転職者です。
短期間でもしっかりと知識とスキルを身につけられる自信があるなら、未経験からいきなり人気ブランドへチャレンジしてもいいでしょう。
人間関係や知識や技術に少しでも不安のある方は、もう少し長期的にキャリアで最初のブランドを選ぶことをオススメします。
敢えて、第一志望ではないけど、最初の1~2年は教育体制のしっかりとしたブランドで経験を積んで、その後に第一志望のブランドへチャレンジするものありでしょう。
人間関係に不安を抱える人は、人間関係の良好なブランドを選んで慣れてからチャレンジするといいでしょう。
※この記事は、2018年6月27日に公開された記事の再掲載になります。
「私たちの時代は言われなくても自分で勉強してたのよ。あなたは自分で調べたの?」
「なんでも聞かないで自分で考えなさい」