こんにちは。
化粧品・美容業界の就活サイトを運営するビューティーツリーの辻堂です。
今回は、前回の記事「【業界研究】化粧品業界の動向と将来性、業界を志望する理由について」に続き、業界研究を更に進めていきましょう。
今回の記事では化粧品メーカー・ブランドの選び方について説明していきます。
業界研究する前に業界用語の「チャネル」を知っておこう
化粧品業界を調べていくと、販売チャネルという言葉がよく出てきます。
チャネルを直訳すると「経路」です。つまり、販売経路のことです。
化粧品業界には以下8つのチャネルがあります。
■化粧品業界の販売チャネル
・百貨店
・化粧品専門店
・ファッションビル
・直営店
・バライエティ
・ドラッグストア
・訪問販売
・インターネット通販
■チャネルが違うと何が変わるの?
百貨店で働く場合、基本的に1つのブランドを扱うケースがほとんどです。
また、お客様は富裕層で、単価の高いアイテムを扱う傾向にあります。
当然、富裕層相手となると上質な接客が求められます。
一方、化粧品専門店は複数のブランドを扱います。
アイテム数も膨大で、お客様の年齢層や属性も幅広くなります。
そのため、幅広い美容と化粧品の知識が必要になります。
また、お客様との距離も近く、店舗によってはカジュアルな接客が求められます。
こんな感じで、販売チャネルによって接客スタイルが大きく変わります。
自分はどんなお客様を接客したいのか。
1つのブランドか複数のブランドか。
どんな雰囲気の職場がいいか。
自分の条件と照らし合わせてみましょう。
まずは国内外の大手メーカーを知っておこう
皆さんが知っている百貨店ブランド(デパコス)のほとんどは、大手化粧品メーカーが運営しています。
ただ、会社名≠ブランド名になっているケースが多いため、大手メーカーとブランドの関係を知っておきましょう。
メーカーによっては、複数ブランドを一括で採用するところもあれば、ブランドごとに採用するケースもあります。
また、アーティスト系ブランドでは新卒採用を行わず、不定期に募集するところが多いため、こまめにブランドの募集ページをチェックしておきましょう。
まずは大手メーカーとブランドの関係についてご紹介します。
■資生堂
言わずと知れた国内最大の化粧品メーカー。
SHISEIDOのほか、クレドポーボーテ(cledepeau BEAUTE)、イプサ(IPSA)、ナーズ(NARS)、ベアミネラル(bare minerals)、ローラメルシエ(laura mercier)などがあります。
■花王・カネボウ
花王にはソフィーナ。
カネボウにはルナソルが有名。
子会社に株式会社エキップがあり、RMKとSUQQUを展開。
花王・カネボウ・エキップではそれぞれ独自で新卒採用を行っています。
■ポーラ・オルビス
こちらも国内大手メーカーで、訪問販売からスタートして今では百貨店にも出店もしているポーラ(POLA)。
通販から直営店へ展開しているオルビス(ORBIS)。
子会社にスリー(THREE)を展開する株式会社アクロがあります。
こちらも各社それぞれ新卒採用を行っています。
■コーセー・アルビオン
デコルテ(DECORTE)、アディクション(ADDICTION)、ジルスチュアート(JILLSTUART)、アウェイク(Awake)を展開するコーセー。
関連会社にアルビオンがあり、アルビオン(ALBION)、ポールアンドジョー(PAUL&JOE)、アナスイ(ANNASUI)、ラデュレ(LADUREE)などがあります。
コーセーでは百貨店や専門店の美容部員の採用を一括で行い、ジルスチュアートやアディクションは個別に採用を行っています。
また、アルビオンも百貨店や専門店の美容部員の採用は一括で行い、ポールアンドジョーやアナスイなどは個別に採用していますので、興味ある方はそれぞれのブランドページから確認しましょう。
■ELGC(エスティローダーグループ)
アメリカ本社の外資系ブランド。
クリニーク(CLINIQUE)、ボビイブラウン(BOBBI BROWN)、マック(MAC)、ジョーマローン(JO MALONE)、トムフォード(TOM FORD)などがあります。基本、新卒はELGCにて一括採用を行っています。
■日本ロレアル
フランス本社の外資系ブランド。
イヴサンローラン(YVESSAINTLAURENT)、キールズ(Kiehls)、シュウウエムラ(shu uemura)、ランコム(LANCOME)、ロジェガレ(ROGER&GALLET)、ニュクス(NYX)などがあります。
日本ロレアルでは新卒採用を全ブランド一括にて行っています。
■LVMH
フランス本社の外資系ブランド。
ディオール(Dior)、ゲラン(GUERLAIN)、ジバンシイ(GIVENCHY)がある。販売職は各ブランド独自で採用を行っている。
■ピアスグループ
関西本社の国内大手メーカー。
アクセーヌ(ACSEINE)、カバーマーク(COVERMARK)、ケサランパサラン(KesalanPatharan)のほか、まつ毛や眉毛の施術を行う専門店を展開するなど、幅広く美容サロンを運営する。
メーカーやブランドの違いを知るにはどうしたらいい?
メーカーやブランドの違いを理解するには、以下3つの項目で比較すると分かりやすいでしょう。
①顧客属性、チャネル
②アイテム構成
③会社の収益性
①顧客属性、チャネル
■顧客属性
顧客の年齢によって、肌の悩みも違えば、メイクの方法も違う。
また、求める接客も違うし、使うアイテムも変わってくる。
あなたは、どんな年齢層のお客様を接客したいですか?
どんな人の、どのような悩みを解決してあげたいですか?
・若い
10代~20代前半の若い女性がターゲット。
就職活動する皆さんと同年代で、距離が近い接客ができるでしょう。
スキンケアよりも、メイクアップをメインとするブランドが多い。
参考ブランド:MAC、ジルスチュアート、RMK、アナスイ、ポールアンドジョーなど。
・普通
20~30代の女性がターゲット。
肌の衰えを感じ始める人が多く、メイクに加えて、スキンケアのアドバイスが求められる機会が増えてくるでしょう。
参考ブランド:サンローラン、ナーズ、デコルテ、ボビイブラウン、シュウウエムラ、スリー、イプサ、アディクションなど。
・高め
30代後半~40・50代以上の女性。
肌の悩みがより一層深くなり、肌悩みの原因と対策(エイジングケアなど)を丁寧にアドバイスする必要があります。
化粧品にかける単価は最も高くなるため、皮膚の構造やはたらきなどの知識がないと、顧客に納得してもらえる提案はできないでしょう。
参考ブランド:SK-Ⅱ、SUQQU、クレドポーボーテ、デコルテ、ゲランなど。
・全世代
30代~40代を中心に、20代、50代以上も含まれる。
スキンケアメインのブランドもあれば、スキンケア~メイクアップまで揃えるブランドもあり、幅広い美容の知識とスキルが必要となります。
接客スタイルも幅広い年代に合わせて、柔軟に対応することが求められます。
■チャネル
・百貨店
百貨店の高いレベルでの接客が求められます。
どうせ美容部員になるなら、一流の接客技術を身につけたいと思う方には向いているでしょう。
・化粧品専門店
色々なブランドを扱います。
1つのブランドではなく、いろいろなブランド、アイテムを扱いたい方にはオススメ。
また、店舗運営の仕事もあるため、販売だけでなく、様々な業務をしたいという方には向いているかも知れません。
・直営店
ファンケル、ロクシタン、ラッシュ、DHCなどが直営店型のブランドです。
専門店と同じく店舗運営業務もあります。
直営店モデルは、ほかのチャネルよりも利益率が良いと言われており、直営店ブランドは美容部員の給与や待遇が他のチャネルのブランドよりも良いケースがあります。
・訪問販売
ポーラ、ノエビア、シーボン、日本メナードなどです。
高齢化社会の到来で、最近は訪問販売の売上も伸びていると聞きます。
最近は正社員として採用するケースも増えていますが、
本来は独立を目指す女性が訪販ブランドに入社するケースが一般的でした。
いずれ自分でサロンを構えて仕事をやっていきたいと思う独立志向の方にはオススメです。
②アイテム構成
ブランドの主力アイテムが何かによって、接客スタイルや待遇などが大きく変わります。
「えっ?本当にそうなの?」と思う方もいるかも知れませんが、その理由を簡単に説明します。
上の図を見てください。
ざっくり、化粧品を3つに分類すると、ポイントメイク、ベースメイク、スキンケアとなります。
ポイントメイクは、単価が安く、トレンドに敏感です。
ベースメイクは、単価はそこそこ、ポイントメイクほどトレンドに敏感ではない。
スキンケアは、単価は高く、トレンドにあまり左右されません。
ここで大事なのはたったの2つ。
①単価は接客スタイルを決める
アイテムの単価によって、接客スタイルが変わります。
例えば、単価が安い場合、売上を上げるにはたくさん売らなければなりません。
しかし、単価が高ければ、そこまで数を追う必要はないため、じっくりと接客ができます。
つまり、単価が安ければ、丁寧な接客がなかなかできず、どんどん顧客をさばいていく必要があります。
一方、スキンケアは単価が高いので、顧客一人一人に丁寧な接客ができます。
②アイテムのカテゴリ次第で顧客が変わる
アイテムのカテゴリが変われば、顧客も変わります。
ポイントメイクは、トレンドに敏感です。
だから、顧客の入れ替わりも早く、基本的に新規がメイン。
スキンケアは、トレンドにあまり流されません。
だから、顧客の入れ替わりも少なく、リピーターがメインとなります。
皆さんはどんな接客がしたいですか?
色んなお客様をガンガンさばいて、売上を上げていくスタイルですか?
それとも、リピーターのお客様をメインに、時間をかけて丁寧に対応するスタイルですか?
そのブランドの主力アイテムの単価とカテゴリによって接客スタイルも変わりますので、しっかりと覚えておきましょう。
③会社の収益性
収益性、つまり利益がよく出る会社の方が当然美容部員の待遇も良くなります。
先ほどのアイテムのカテゴリでも説明しましたが、利益が出やすいのはスキンケア<ベースメイク<ポイントメイクの順と言われています。
また、百貨店よりも直営店の方が、コストがかからず、利益が出やすいと言われています。
当然、通販はもっと利益が出やすくなります。
あと、化粧品以外の業種で事業を行っている会社が化粧品業界に参入した場合、もともとの事業の収益性が高いと待遇が良くなる傾向にあります。
例えば、アスタリフトの富士フィルム、オバジやエピステームを展開するロート製薬などは、化粧品以外に収益性の高い事業があるので、待遇面も良くなる傾向にあります。
まとめ
業界研究をして、企業を選んでいく上では、自己分析が欠かせません。
なぜなら、皆さんが何を重視するのか。これが決まっていないと、企業を選べないからです。
だから、今回の記事では、企業を選ぶ基準をご紹介しました。
企業やブランドを選ぶには、当然、ブランドのイメージや皆さんの好き嫌いが前提にあると思います。
ただし、イメージと実態が必ずしも一致するとは限りません。
だから、顧客属性、チャネル、主力アイテムの構成、会社の収益性を調べて、
どんな接客スタイルになるのか、
どんなお客様を対応するのか、
どんな待遇条件になるのか、
これらの情報をセットにして、自分に合う企業を選びましょう。
おまけ:企業研究に役立つサイト
企業・ブランド研究に最適な記事(外部サイト)を見つけたのでご紹介します。
記事タイトル:デパコスブランドを31種徹底比較!『価格・イメージ・年齢層で選ぶ』
美容ブロガーの女性が、百貨店ブランドの化粧品の特徴をまとめています。
特に、デパコス別の店頭カウンターの印象までは書いてあり、とても参考になります。
就職活動の業界研究には、こちらのサイトもぜひご覧ください。
記事タイトル:デパコスブランド「特徴・イメージ比較」一覧にまとめてみた!
こちらも百貨店ブランドの特徴をサラッとまとめています。
ブランドの特徴をサクッと知りたい場合は、おススメです。