【ブライダル業界研究⑥】就活対策|バンケットサービスの仕事内容とその適性は?

ブライダル関連の職種は、ウェディングプランナー・衣裳スタイリスト・アテンド・バンケットスタッフ・フラワーコーディネーター・フォトグラファー・ヘアメイク・引き出物関連など様々で、その所属によっても仕事内容は異なります。

ブライダル業界に興味があり、就職を考えている方へ、元サービススタッフ経験者がその職種と仕事内容を具体的にお伝えします!

ブライダル業界で宴会サービスのキャプテンやバンケットサービススタッフになるためには

「バンケット」とは「宴会」のことで、結婚披露宴や企業パーティ、式典などで利用される場所がバンケットルーム(宴会場)などと呼ばれます。
そこでで料理やドリンクの提供を行うサービススタッフは、一つの会場でゲスト数およびデーブル数に応じて必要人数も多くなるため、アルバイトや派遣社員としての募集もみられます。
プロデュース会社が運営する結婚式場や専門式場・ホテルなどに直接所属するか、会場によっては宴会サービススタッフ派遣会社と契約しており、その派遣会社を通じて勤務することになります。
もちろんホテルなどでは、ウェディングの披露宴のみならず、企業パーティや式典等のイベントにおいても活躍することとなります。

中でも、サービススタッフを取りまとめたり、宴会を取り仕切るマネージャーとしての役割を担うのがキャプテンと呼ばれる存在です。
キャプテンはその場の責任者でもあるため、アルバイトではなく正社員として専門式場やホテルに所属するのが一般的です。
学生時代にアルバイトを経験し、その後正社員として就職するという人もいます。

ブライダル業界のバンケットサービススタッフの仕事

表立って見られる業務は披露宴などの宴会でキッチンから料理を運んだり、ドリンクを提供することですが、裏方の仕事はそれ以上に体力勝負のものです。
まず始めに、宴会の予約に合わせて集められたサービススタッフのメンバーで、会場のセッティングを行います。
キャプテンの指示を筆頭に、レイアウト通りにステージ台や大きな円卓を配置し、指定のテーブルクロス・ランナーをセット、各卓に決められた数の椅子をキャリーで運んできます。
等間隔に人数分のショープレート(飾り皿)を配置したら、その上には指定通りに形作ったナプキンなどの卓上セッティングです。
オーダーされている料理によって、必要なシルバーと呼ばれるナイフ・フォーク類、グラス類の数は異なります。
最後に、コーディネートされたチェアカバーを椅子にセットしたら、席次表通りに席札や引き出物を置いて完成です。

お客様が会場に入ってからは、任された担当テーブルでのサービス業務がスタートします。
乾杯の合図でシャンパングラスにスパークリングワインを注いだり、料理が乗った大きなお皿も3枚持ちなど、緊張感とスピードが同時に求められます。
会場から裏導線に続く出入り口を行ったり来たり、何十往復もしながら料理を運び、済んだお皿を下げ、ドリンクを補充する繰り返しです。
お客様との距離も近く、お手洗いの場所や、料理・進行についての質問をされることも度々あります。
たとえ新人のアルバイトであっても、制服を着てその場にいる以上、お客様から見れば社員との違いなど無いので、事前に聞かれそうなことを頭にいれておくのは最低限必要なことです。

宴会が終わった後は、全て片付け作業が始まります。
まずは卓上の大量の食器やグラス類に残された食べ残しやドリンク類から処分します。
キャスター付きのドラム缶ほどもある大きなゴミバケツにザルをセットし、その中に残りものを回収していきます。
バケツに溜まった液体は排水に、ザルに残った個体は生ゴミとして処分するのです。
同時にシルバー類・お皿類を種類ごとまとめて回収する人、グラス専用のラックにグラスを回収していく人、チェアカバーやクロス類を回収する人など、役割を分担しながらリセットしていきます。
会場が片付いた後も、スチュワード(洗い場)まで下げたもの運んだり、ゴミ捨てやクリーニング業者に回収されるクロス類を運んだり、まさに表舞台の裏側の仕事が存在します。

ブライダル業界のバンケットサービススタッフの大変なところ

婚礼の多い土日祝日の大安ともなると、一日に1つのバンケットルームで3件の結婚披露宴が行われることもあります。
人気のホテルや専門式場では、バンケットルームA~Cの3会場で11:00~15:00~18:30~のように予約が入っているということも。
11:00開始の披露宴のお開きが14:00だった場合、次の披露宴の開始時刻15:00までの1時間の中で、全ての片付けと会場セッティングを完了しなければならないのです。
この片付けから次のセッティングまでを「どんでん」と呼び、バンケットスタッフのみならず、会場装花を取り替えるフローリストや司会者の方と機材の調整を行う音響・照明さんまで、現場はとてつもない緊張感に包まれます。
このような状況で披露宴時間が押してしまうことなどが無いように、料理の提供スピードや宴会の進み具合をオンタイムにコントロールするのもキャプテンの役割です。

また、宴会サービスのアルバイトは慣れるまでが大変と言われます。
その理由の一つは、モノの名前を覚えることと、その置き場所を覚えることが大変だからであると思います。
たとえば、先述のシルバー(ナイフ・フォーク・スプーンなどの銀食器類),ショープレ(飾り皿のショープレート),スチュワード(洗い場),どんでん(片付けから次のセッティング)はほんの一部です。
トーション(接客時に使用するクロス),トレンチ(トレー),サーバー(料理を取り分けるための大きいスープン&フォーク),カスター(塩胡椒セット),チャンバー(冷蔵庫),パントリー(食器類の格納場所で洗い場近くにあることが多い),ギャベ(garbage=生ゴミ等)。
テーブルはサイズによって、サブロク(180cm×90cm),ニイロク(180cm×60cm),ダイマル(直径180cmの大型円形テーブル),チュウマル(直径120cmの中型円形テーブル)などの名称があり、それぞれに適したサイズのクロスがあります。
もちろん、お皿やグラスなどの食器類も形状によってそれぞれの呼び名があり、たとえば8オンスのタンブラーグラスはハッタンと呼ばれます。
忙しいどんでんの最中に「サブロク用のピンク(クロス)1枚とカスターセット1組取ってきて!」と指示をされた時に、それが何で、何階の倉庫もしくはパントリーにあるのか、新人のうちは間違えながら根気よく覚えていくのです。

ブライダル業界のバンケットサービススタッフのやりがい

婚礼やパーティー、会議や講演など、華やかな舞台を輝かせるために「縁の下の力持ち」となるのが、宴会サービス部門です。
婚礼では、沢山の新郎新婦が時間をかけて準備をしてきた集大成となる瞬間を間近で共有することができます。
どれだけ仕事に慣れてきても、見ず知らずの新郎新婦であったにも関わらず、感動のシーンには思わず涙してしまうこともあります。
幸せな現場を作る仕事をしている、と実感できる瞬間があります。

大規模な宴会場の規模にも対応できるようアルバイトや派遣スタッフなど多人数が働いている為、サービススタッフ社員の役割は、いかに的確に指示を出し、チームワークを発揮できるかです。
スタッフの中には、自分以上に経験が豊富な方がたくさんいるので、普段からコミュニケーションをはかり、一人ひとりの名前を覚えることで、業務が円滑に進むようになります。
そうした方々の力を借りながらも、いざというときに責任を負うのは社員である自分だ、という覚悟を持って、取り組む責任感がやりがいでもあります。

ブライダル業界のバンケットサービススタッフに向いている人

誰に対しても面倒見が良い人。
忙しい現場でありながら、新人のアルバイトはモノの名前、置き場所、次に何をしたら良いか、ということが全くわからない状況です。
料理を落とす、食器やグラスを破損する、といったミスも起きやすく、お客様と新人スタッフへのスムーズな対処はもちろん、場合によってはキッチンに料理を追加手配してもらうなどの連携が必要となります。
社員であれば常にチーム全体を見渡し、トラブルを防ぐための気配りと、トラブルがあった時のフォローもできなければなりません。

体力がある人。
ブライダル業界全体に言えることですが、常に動き、立っている仕事です。
重いものを運んだり、会場内を動き回る業務がほとんどなので、腰痛や腱鞘炎などの持病がある場合は難しい仕事です。