美容部員に就職・転職する前に知っておくべき人間関係のコツ

美容部員に転職する前に知っておくべき人間関係のコツ

美容部員の転職を考える人にとって、「美容部員は人間関係が大変!」ということは聞いたことがある方もいるでしょう。人間関係も含めて、美容部員にはどんな苦労があるのか、そして美容部員に転職した多くの人が悩みを抱える人間関係について、考えてみたいと思います。

 

美容部員に転職した人が最初に苦労すること

以前、私は100名を超える美容部員のマネジメントをしていましたが、その時の経験から美容部員になったばかりの人が苦労することは、ざっくり以下の5つでした。

1.同僚との人間関係
2.ノルマや目標達成のプレッシャー
3.なかなか売れない
4.常に見られていて気が抜けない
5.立ちっぱなしで肉体的な負担が大きい

 

美容部員が苦労することダントツ1位は人間関係

美容部員が苦労することダントツ1位は人間関係

美容部員に転職した人が苦労することのダントツ1位は人間関係です。また、最近ではノルマというコトバを使うメーカーはかなり減りましたが、とはいえ美容部員は化粧品を売るのが仕事です。そのため、個人やチームでは売上目標を持ちます。売上が達成できていないと、当然、営業や店長から指摘を受けたり、プレッシャーをかけられありすることもあります。

また、未経験で美容部員に転職した方は、なかなか売れないという苦労もよく相談されます。商品知識はなんとか覚えたけど、商品の前提にある肌の知識や、最低限のメイクスキルが追い付かず、売りたくてもなかなか売れなくてどうしたらいいか分からないというようなケースです。化粧品会社も新人研修にたくさんの時間をかけることもできず、最低限のことしか教えてくれませんので、新人研修後も自発的に勉強することが求められます。

あと、美容部員の制服を着ていると、その会社やブランドの信頼を背負っていますので、接客中はもちろん、お客様がいないときでも誰かが見ているという意識で、立ち居振る舞いや発言に気を付けなければなりません。慣れれば気にならなくなりますが、最初のうちはなかなか気を抜けず、苦労するようです。

 

美容部員は水どりのような存在

最後に、立ちっぱなしで肉体的にツライということです。美容部員はよく水どりに例えられます。水どりは、表面上は余裕の表情ですいすい泳でいるように見えますが、実は水面下では足をバタバタ漕いで、必死に泳いでいます。美容部員もお客様の立場から見れば、笑顔で颯爽と仕事をしているように見えますが、実は立ちっぱなしの仕事で足腰はクタクタで、カウンターの裏では検品や品出しの作業があり、かなりの肉体労働です。しかも、先輩や同僚との人間関係で気をつかいながら、それでも笑顔で働いています。

このように美容部員にはさまざまな苦労があります。ただ、経験上、もっとも美容部員を悩ます苦労は何かといえば、ダントツで「先輩や同僚との人間関係」です。この人間関係の悩みについて、もう少し掘り下げていきたいと思います。

 

配属後の人間関係で挫折してしまう人が後を絶たない

どの職場でも人間関係には気をつかうことが多いと思いますが、百貨店の美容部員に限って言えば、化粧品カウンターのとても狭い空間で4~5名の女性が仕事をするというかなり珍しい職場です。そんな環境で、1人でも機嫌が悪い同僚がいたり、クセのある人が先輩にいたりすると、お客様だけでなく先輩や同僚に対しても気をつかう必要が出てきます。

美容部員に転職したばかりの人にとって、お客様への気づかいだけで一杯一杯なのに、同僚や先輩に対しても気をつかうとなると心身ともに疲れてしまいます。また、「先輩が忙しすぎて聞きたくても聞ける雰囲気ではない」とか「聞きたくても自分で調べなさいと言われるだけで教えてくれない」といったように、新人が業務に慣れるまでの期間に人間関係が原因で、挫折してしまう方が多いようです。

 

なんで美容部員の職場では人間関係のトラブルが発生するの?

なんで美容部員の職場では人間関係のトラブルが発生するの?

美容部員の職場で発生する人間関係のトラブルには原因はさまざまありますが、初心者がよく悩むケースに限って言えば、人材を育成する立場の世代と若い世代で、人の育て方に対する考え方の違いが原因と思います。ここ数年は、少子化の影響で若い人が減っていて、化粧品メーカーが若い人を採用するのにかなり苦労します。逆を言えば、仕事を探す側は、そこまで苦労せずに仕事に就くことができます。

実際に、美容部員の中途採用においても、会社によってはよほどの理由がない限り、面接で落とすことはなくなりました。しかし、今の時代に店長やチーフ、店頭で新人教育を担当するスタッフは、5年とか10年とか長い期間美容部員を経験している人が大半です。現在の店長やチーフ、新人教育担当らの新卒または中途採用当時といえば、現在ほど少子化の影響等はなく、人気ブランドでは20~30人に1人しか合格しないといったようなことは当たり前でした。

 

10年前ならブランドのロゴを出せば100人応募者が集まった

以前、RMKの人事の方にお聞きした話によると、「求人サイトにブランドのロゴを出しておけば2週間で100人以上の応募があったが、現在ではそんなことはありえない」とおっしゃってました。つまり、企業は人を選べる時代でした。それだけ人を選べる時代ですと、採用だけでなく、教育の方法も異なります。新人教育に限っていえば、極論ですが、かなり厳しく指導して辞めてしまったとしても、また採用すればいつでも代わりが用意できる状況だったので、新人教育では短期間に膨大な知識と経験を詰め込み、自宅で寝る間も惜しんで勉強するのは当たり前で、配属後も勤務終了後や休日を返上して技術的なトレーニングするのは至って普通のことでした。

当然、店頭ではわからないことを聞いても自分で調べなさいということで教えてもらえず、最初のうちは仕事も与えられないので、自分からできることを探して、主体的に動くことが求められていました。そんな過酷な時代を生き抜いてきた方々が、今の時代にはトレーナーや店長、チーフや教育担当者になっているのです。

そういう経験をしてきた人からすれば、今の若い人たちの働く意識やスタンスには「甘ったれている」と見えてしまうのは無理ありません。でも今の若い人たちは、そんな苦労は知りませんし、そんな理不尽な苦労をするくらいなら美容部員を辞めてしまおう、ということでズレやギャップが生まれて、人間関係のトラブルに発展しています。

 

美容部員の人間関係のトラブルを回避するには、相手を理解するしかない

なんで美容部員の職場では人間関係のトラブルが発生するの?
このような世代の違いによる人間関係のトラブルを回避するには、お互いがお互いを理解し合うことが重要です。近年、化粧品会社では、店長やチーフといった責任ある立場の社員に対して、先ほど説明した世代間に違いがあることや、人権を尊重する大事さを理解してもらう研修を行ったり、コーチングといって聴く力を養う研修を導入したり、双方のギャップを埋めるために努力しています。また、店長やチーフも、今の若い人たちの考えやスタンスに理解しようと、必死になって取り組んでいます。それでも、自分たちが受けた教育の仕方を変えることは簡単ではありません。

だから、これから美容部員に転職しようと考えている人、すでに転職して配属を控えている人、配属後の人間関係に悩んでいる人は、人間関係のトラブルには上記のような背景があることを理解することが大事です。この背景が理解できれば、何も教えてくれない先輩がなんで丁寧に教えてくれないのか、少しは気持ちを察してあげることができるでしょう。

 

受け身ではなく、自ら動くことが大事

教えてもらって当然というスタンスから、自分で調べてみよう、分からないことがあれば休憩中や仕事後、休日などでちょっと勉強してみよう、まずは自分にできることを積極的に探してチームのために動く、といったようにまずは自分から動くというスタンスに変われば、先輩や教育担当もあなたのことを認めて、もっと丁寧に教えてくれるようになるかも知れません。

教える側にも当然問題はありますが、教えてもらう側も課題意識をもって、自分たちのスタンスを変えることで、多くの人が悩む人間関係の解決につながると思っています。

 

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この記事をかいた人

大学卒業後、大手人材会社パーソルキャリア入社。その後、@cosmeを運営するアイスタイルに入社、人事部、社長室、メディア事業部、子会社社長を経て、2018年に美容業界専門の新卒対策メディアを運営する「ビューティーツリー」を創業。