美容部員の待遇はこれからもっと良くなる?

美容部員の待遇はこれからもっと良くなる?

こんにちは。ビューティーツリー編集長の辻堂です。

近年、美容部員の待遇は改善されつつあります。美容部員の雇用形態で言えば、これまでは契約社員が一般的でしたが、最近では正社員が当たり前になりつつあります。また、契約社員だったとしても、半年とか1年後には正社員登用することを前提にしている化粧品会社もあります。

とはいえ、ベースとなる給与や賞与、育休・産休の取得率などは、化粧品会社やその他産業の本社社員と比べて、美容部員の待遇はまだまだ低く決して良い待遇とは言えません。

美容部員が本社社員に比べて、なぜ低待遇なのでしょうか。今後は美容部員の待遇は本社社員と比較して改善されていくのでしょうか。また、美容部員の待遇を改善するためにはどうしたらいいのでしょうか。

これから美容部員を目指す人にはとても気になるテーマ「美容部員の待遇」について、ご説明したいと思います。

美容部員の待遇がよくない理由

美容部員の待遇がよくない理由

美容部員の待遇について、最近はかなり改善されつつありますが、それでも他の職種(特に本社職)と比べて若干低めに設定されているのはなぜでしょうか。

私は2つの理由があると思っています。

 

①美容部員の離職率が高いから

美容部員は離職率が高いと言われています。
だから、「どうせすぐ辞めてしまうのだから待遇を改善する必要はない」ということで、これまで改善されずにきたと考えています。以前、聞いた話によると、仏系有名メイクアップブランドでは、入社後6ヶ月以内の離職率は60%を超えていて、仮に100名採用しても半年後には40名しか残らないのが実態のようです。

それだけ短期間に辞めてしまうと、採用コストも教育コストもかなりの額になります。待遇改善に費やすよりも採用や教育に予算を使いたいというのがメーカー側の本音だと思います。

また、規模の大きいメーカーでは、所属する美容部員の数も500名とか1000名を超えてきます。仮に美容部員さんの月額給与1万円アップさせようと思っても、1000人全員アップさせなければならなので、結果的には毎月1000万円、年間で1.2億円の費用がかかってくるので、そう簡単には待遇改善できません。

 

②美容部員は代わりがすぐに採用できた

仮に人が辞めたとしても、美容部員は資格が要らない職種なので、後任探しが比較的簡単でした。だから、辞めても後任が見つかるなら…ということで、待遇を改善する必要がなかったと考えます。

某メイクアップブランドのケースですが、1回の募集に100名以上の応募があり、あまりに応募者が多いときは20名規模のグループ面接になったこともあるようで、まさにオーディションのような面接を行っていたことがあると聞きました。これがすべてのブランドに当てはまるわけではありませんが、一般的に、本社職種に比べて美容部員の採用は比較的容易だったため、待遇を改善する必要性をそこまで感じてこなかったのかも知れません。

 

美容部員の待遇はこれからもっと改善されていくはず

美容部員の待遇はこれからもっと改善されていく

これからはどうでしょうか。私は美容部員の待遇はどんどん改善されていくと思います。なぜかと言えば、昔のように、美容部員を採用することは簡単ではなくなってきたからです。

美容部員を志望する人の数は10年前にくらべて1/10くらいに減少しています。当然、応募数が1/10に減っているのだから、美容部員の採用単価も単純計算すると10倍近くになっているということです。私の感覚値になりますが、10年前は美容部員1人あたりの採用単価は3万円~5万円くらいだったと思います。したがって、現在では美容部員を1人採用するのに30万円以上かかっていることになります。

それだけ採用コストが高くなると、化粧品メーカー各社は採用コストを減らすためになんとか退職者を減らそうと考えます。また、採用においても他社よりも好条件を出そうと考えます。こういった背景から、ここ2~3年で、一部の化粧品メーカーを中心に、美容部員の待遇を改善しようと取り組んでいます。たとえば、ファンケルやポーラが正社員採用に切り替えたり、資生堂・花王・コーセーといった大手化粧品メーカーが契約社員から正社員への登用率を高めています。

今後においても、このまま人手不足が続いていくと言われていますので、美容部員の待遇は改善されていくと思います。

 

教育の仕組みもセットで解決する必要がある

一方で、待遇が改善されたとしても、離職率が低下するとは限りません。なぜなら、離職者のほとんどは入社から6か月以内の方で、その離職理由は待遇だけでなく人間関係に起因するからです。現状、未経験で入社しても研修期間が短く、知識・技術不足のまま配属になり、店長や先輩に聞きたくても怖くて聞けず、人間関係に行き詰まりを感じて辞めていくケースが圧倒的に多いです。そのため、待遇もさることながら、教育の仕組みもセットで改善していく必要があります。

美容部員になるには資格は必要ありません。資格が必要ないからこそ、未経験でもチャレンジできます。でも、美容部員未経験の人が、たった1週間程度の研修を受けただけで、プロとして店頭に立てるかというと、決してそんなことはありません。

担当するブランドの商品を覚えるだけでも大変なのに、お客様を目の前にしてプレッシャーを受けながら、詰め込んだ知識や技術をどれだけ上手に発揮できるでしょうか。一方で、美容部員を雇用する化粧品メーカーも、しっかりと時間をかけて着実に人材を育成していきたいと考えています。

しかし、店頭現場では欠員が相次ぎ、現場からは一日でも早く配属させてほしいとの要望がくるため、なかなか教育に時間をかけることができません。こういった背景があり、待遇改善に加えて、教育にも解決すべき課題がまだまだ残っています。

 

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この記事をかいた人

大学卒業後、大手人材会社パーソルキャリア入社。その後、@cosmeを運営するアイスタイルに入社、人事部、社長室、メディア事業部、子会社社長を経て、2018年に美容業界専門の新卒対策メディアを運営する「ビューティーツリー」を創業。