美容部員を目指して美容専門学校やメイクスクールに通っている人は多いです。
確かに、NARSやMACなど一部のメイクアップブランドの美容部員になるには、美容やメイクアップの専門的な知識と技術が必要になるため、専門学校やスクールに通うのは得策です。
しかし、スキンケアブランドやメイクでもそこまでアーティスト色の強くないブランドの美容部員になるには、美容専門学校やメイクスクールへ通う必要はないでしょう。
なぜ美容部員になるのに専門学校やメイクアップスクールに通う必要がないのでしょうか。
専門的な知識やスキルはすぐに活かせない
美容専門学校やメイクスクールで身につけた知識やスキルのすべてを、美容部員の仕事で活かすことはできません。
なぜなら、美容部員は化粧品を売ることが仕事だからです。
化粧品を販売するために、美容の知識やメイクのスキルが必要になります。
つまり、知識やスキルはあくまで販売するためのツールでしかなく、それらがメインにはなり得ません。
外資系メイクアップブランドに就職したSさんの事例
以前、私が就職支援をしていた専門学校の学生Sさんは、リップで話題になった若い女性に大人気の外資系メイクアップブランドに入社しました。
学生生活の2年間でみっちりメイクのスキルを身につけて、技術力にはかなり自信を持っていました。
自分の大好きなブランドで、スキルを存分に活かしてみたいという想いで入社しましたが、3ヶ月後に退職してしまいました。
退職理由は
でした。
なぜなら、Sさんが入社したブランドはとても人気だったので、来店数が多くお客様へメイクするような暇もなく、ただひたすら商品説明・レジ・検品作業に追われる毎日でした。
またメイクアップブランドは単価が安いため、お客様一人ひとりの接客時間を極力短くして、いかにたくさん売れるかが重要でした。
そういったズレもあり、Sさんは約300万円の学費を払って学んだ知識やスキルを全く活かすことができず、退職することになりました。
学校で身につけたスキルは邪魔になってしまうことも
美容専門学校やメイクアップスクールで学んだ知識やスキルは、ブランドによっては邪魔になってしまうことがあります。
化粧品メーカーには、独自の美容哲学なるものがあります。
例えば、スキンケアで言うと、一般的には「洗顔→化粧水→乳液」の順番につけますが、アルビオンは「洗顔→乳液→化粧水」の順番でつけることを提案しています。
こういった感じで、各社独自のお手入れやメイクの方法があり、それが他社との差別化でもあります。
なので、美容部員になるには、皮膚の基礎知識やメイクアップの基本理論など最低限の美容知識は必要です。
しかし、美容専門学校やメイクスクールでは、基礎だけでなく、かなり深いレベルの知識やスキルを習得します。
もし、仮に卒業後に入社したブランドが、学校の教えと大きく異なる場合、学校で身につけたものが邪魔をして、新しい知識やスキルをスムーズに習得できなくなることがあります。
また、高額な学費と長い時間を投資して身につけたものを捨てることは、心情的にかなり辛いでしょう。
経済的な負担が大きすぎる
美容専門学校やメイクアップスクールでは、2年間フルに通うと平均300万円近くの学費がかかります。
学費を全額負担してくれる親がいればいいですが、自己負担する場合は、奨学金という名の借金をする必要があります。
しかし、今、これが社会問題になっています。
将来、美容部員を目指すなら、待遇もしっかりしているのでまだいいのですが、ヘアメイクやメイクアップアーティストだと、普通にやっても平均年収が150万円~200万円ほどです。
そこに奨学金の返済が入ってくると、その仕事だけでは食べていけません。
でも、ヘアメイクやアーティストの仕事は無茶なスケジュールが多く、副業する余裕もないため、奨学金の返済で苦しむ方が急増しています。
もし美容部員を目指すなら、ヘアメイクやメイクアップアーティストに求められる高度な知識やスキルは必要ないでしょう。
多額な借金をするくらいなら、短期間で基礎をしっかりと身につけて、早く仕事を始めた方がいいでしょう。
まとめ
化粧品メーカーには自社のブランド・商品知識や美容哲学を学ぶ研修を用意しています。
そのため、美容部員になるには美容の基礎知識をしっかりと習得したら、あとは希望のブランドに入社してそのブランドの考え方や方法を研修で学び、できる限り早く店頭に立つことを意識しましょう。
美容部員の仕事では、机上の知識や技術は意味を成しません。
実践が全てです。
基礎をしっかり学んだら、できる限り早く実践で経験を積むことが重要かも知れません。